むーん,とりかかってる章の下書きがなかなかうまくいかん.むむむむむむ………


最近あったことといえば土曜日にデモに行ってきた.人生初.新興の反イスラム・極右レイシストグループScottish Defence Leagueがエディンバラでデモをやるというので,それに対抗する反レイシストの集会とデモがあったのだ.マシューが行くというので俺も行くか,と気軽に行ってきた.当日はSDLのデモは中止になり(当局から許可が出ず),反レイシストのデモは2-3000人集めて平和に街を行進.Princes Streetから大学裏のThe Meadowsという公園に行って,特に何事もなく解散した.デモではマシュー以外にも歴史学科の友達やそれ以外の大学の友達がけっこういて,よおよお元気,あ,これ俺の友達,よろしく,みたいな感じであまりマジメじゃないというか(笑),世間話しながら行進した.日本ではいまどきデモっつうとなにやら「オオゴト? 左翼? 右翼?」って感じだけど,こっちではだいぶ気楽なもんだね.でもなんかいろいろとためになったというか参考になったというか……なんて言っていいかわからないけど.私が研究してる暴動とかも,始まりはもしかしたらこんなもんなのかなーって思った.うん.いちおうニュース記事はこちら


それと今日の夜,大学で作家のイアン・ランキンを招いて講演があるというので友達と言ってきた.ランキンの本はたくさん読んでるし写真とかも見たことあるけど,生で見るのは初めて.学生会館の講演ホールに現れたランキンは,くたびれたシャツにズボンによれよれのTシャツ,ぼさぼさの頭,ちょっと出ているお腹など,見た目はその辺のパブでビール飲んでるおっさんみたいな感じで,オーラみたいなのはゼロ(笑).話し始めると東海岸なまりで冗談いいまくりの,なんか典型的なスコットランド人のおっさんというか.写真だとこんなにかっこいいのに.

なんかだまされた気分.トークは面白かったけどね.講演のあとはサインもらって二言三言会話して帰ってきた.ほんと気のいいおっさんって感じ.


水曜は院生ワークショップで報告.来週はスコットランドセミナーで報告.下書き終わってないのに……がんばらないと.

最近は平穏な日々.コツコツと地道に勉強しとります.


あ,そういえば興味深いニュースを今朝見たので紹介しておきましょう.Facebookでも友達の間で議論になってます.留学目指す人にはちょっと気がかりですが......


Tougher rules have been brought in to stop people abusing the student visa system to remain illegally in the UK. Home Secretary Alan Johnson said 30% of migrants who came into the UK were on student visas and a number were adults taking short courses, not degrees. ... The Tories said the system had been the "biggest hole in border controls".

イギリスでの不法滞在を目的とした学生ビザの悪用を阻止するため,より厳しいビザの規定が適用されてきている.内務大臣アラン・ジョンソンによれば,イギリスに来る移民の30パーセントが学生ビザで入国し,そのうちの多くは学位取得ではなく短期プログラムを目的とする成人だということだ.……保守党はこのシステムは「入国管理における最大の抜け穴である」と批判している.


新しい規則によると,

  • ・中学卒業程度の英語能力が課される(現在はbeginner levelということ)
  • ・短期プログラムの学生のアルバイトは週10時間以下(現在は20時間)
  • ・6ヵ月以下の短期プログラムの学生は家族同伴不可,学位取得以下のプログラムの学生は家族同伴でもよいが,家族はアルバイト禁止
  • ・学位取得以下のプログラムを目的とするビザの取得は,政府のお墨付きの期間を通じてのみ与えられる

ということらしい.結局問題は学生ビザで入国してそのあと不法滞在して働く人たちをどう取り締まるかっていうことであって,学位取得目的で留学しようという学生にはほとんど影響はない……はず……なんだけど,なんかこういう話を聞くたびに,またかよと思う一方ですごおおおおおくイヤな気分になる.留学生仲間の友達もけっこう怒ってるし.けしからんやつらを取り締まるという目的はわからなくないんだけど,こういう「抜け道」が不法滞在の温床でテロリストを呼び込むことになる,とか言われると(保守党の批判),ちょっと待てよとなるわけだ.


ただこんなこと言いつつも,「そういう就労目的の人たちと俺たちみたいなちゃんと学費払って経済に貢献している学生をひとまとめにしないでくれるかね」と思ってしまう自分の特権意識みたいなのにも気付かされて,それがまたイヤ.大学という制度に手厚く守られているだけなくせに,しかも人様の金で来ているくせに,何様なんだお前は,という自分の声.うーむ……


こんなことを悶々と考えた2月の日曜.

なにやら怪しい,いや面白そうなワークショップが日本で開かれるらしいですね.

文化史ワークショップ - 恐怖のかたち――感情の文化史を考える



マーク・ジェナーというたいへんユニークな研究者を迎えて,文化史の方法論を実践することを通じて歴史学の現在と展望を考えるというこのワークショップ.イギリス史やアメリカ史を研究している院生であったら,文化史なんか関係ないという人でもぜひ参加してみるといいと思います.自分の研究の方法論や可能性を再考するいい機会というだけではなく,イギリスの第一線の研究者と英語でしっかりたっぷり議論できる大変まれな機会です.留学を志す人はなおさらです.個人的な経験ですが,こういう場数を日本にいる間にこなしておくことは留学後にとても重要になってくると思います.


応募締め切りは2月末ということです.詳しくはこちらで.

ここ1-2週間はそんなに寒くないうえに,日の入りもだいぶ遅くなってきてて,冬のど真ん中は抜けたような雰囲気になってきている.春が来るまでにはもう2ヵ月くらいかかると思うけど,それでも少しずつ少しずつ季節が移り変わっている感じがする.


最近は飲みだのなんだのも週1程度で,平穏な日々.いま取り掛かっている章の草稿......chapter draft......って日本語でなんて言うんだろう.章の下書き,とかか.その取り掛かっている章がけっこう大事なものなので,集中して勉強するにはいまくらいの平穏さがちょうどいい.25日のバーンズ・ナイト(Robert Burnsというスコットランドの国民的詩人の誕生日祝い.ハギスを食べてBurnsの詩を詠んでAuld Lang Syneを歌う)も今年は何もなかったし.主催しそうなスコットランド人の友達はみんな私と同じ3年目だから,みんな余裕がないんだろうな.これに関してはちょっと残念だったけど,まあ仕方ない.ちなみにハギスについてはいろいろな評価,主にネガティヴ,つまりマズいという意見があるけど,こっちではスーパーとかでも売っているくらいけっこう日常的な食べ物です.ただカロリーも塩分も高いし,毎日食べたら早死にするよなぁという代物.スーパーのはあまりおいしくないけど,ちゃんとした材料を使ってちゃんと作ったものはおいしいです.私は割と好き.もしスコットランドに観光に来てハギスを食べたいという変わった人がいたら,ちゃんとしたパブ(特に王室御用達のエディンバラのハギス屋さんMacSweenのハギスを使っているところ.だいたい入口あたりにこういうステッカーが貼ってあります)で食べると外れはありません.


今週末は去年も行った学科旅行.あれから一年か.早いなぁ.去年は院生が12人しかいなくて,今年は存続が危ぶまれていたんだけど,私と去年行ったポーラとで「学科旅行を救え!」キャンペーンを展開してスタッフに学生からの請願=email攻撃をかましたらすんなり継続が決まった.やってみるもんだよねこういうのは.去年は人が少なかったうえにお互い知らない人同士だったから,結果的にみんな積極的に話かけてすごく仲良くなれたけど,今年は30人近くいるということだから,去年のようなintimateな感じにはならないだろうな.楽しくなりますように.

エディンバラに帰ってきたらすごくほっとした.視覚的にも聴覚的にも,やっぱりこの街は落ち着く.私は耳,というか周りの音がけっこう気持ちのあり方に作用するタイプなので,エディンバラの騒音の少なさは気持ちを落ち着かせるんだと思う.


おととい,つまり金曜深夜に帰ってきて,昨日はちょっと家でゆっくりしてた.夜にパブ飲みがあっただけでどってことのない週末の一日.そういえば昨日の日中は家から歩いて10分くらいにあるチャイニーズ・スーパーマーケットに行ったんだった.私の家のあるHillsideからすぐ近くにLeith Walkというほぼ1マイル=1.6キロにわたって続く大通りがあるんだけど,そこに2軒ほど中国系のスーパーがあり,そのうちひとつはエディンバラで一番大きい中国系スーパーとして有名なのだ.


話には聞いていたものの買いたいものも特にないので,ずっと行っていなかった.エディンバラ生活3年めにして初めての訪問.で,行ってみたらまあ中華,という感じ(あたりまえか).中華料理で使うような調味料とか麺類とかがたくさん売ってる.全体的にちょっと高いけどね.私的にうれしかったのが,日本で売ってるような野菜があったこと.ニラとか小松菜とか大根とか.これでまともな野菜炒めが作れそう.ただ惜しかったのが,ずっと買いたかったパスタによく使う乾燥させた唐辛子(こっちのスーパーでは売っていない!)が,売ってはいるものの4キロの袋入りとかで,大きすぎて買えないこと.もうちょっと小売りにしてくれよ......


こんな感じでいいところも残念なところもあるスーパーだけど,家から近いし今後はよく行くことになりそう.日本の調味料とかも比較的よくそろえているので,エディンバラに住んでいる日本人にはお勧めですね.

Pat's Chung Ying Chinese Supermarket

199-201 Leith Walk, Edinburgh EH6 8NX

British LibraryとThe National Archivesでのリサーチについて

ロンドンに短期で滞在してBritish LibraryとThe National Archivesでリサーチをするときに気をつけたいことをざっと書いておきます.

Accomodation

高い順にホテル,B&B,ホステルとありますが,予算も優先順位も人によると思うのでお勧めはありません.ホテル探しと予約に便利なウェブサイトを挙げておきます.

Booking.com

予約にはクレジットカードが必要.

lastminute.com

たまに割引セールなんかをやってる.

Access

ロンドンの電車を使うときはオイスターカードというとても便利でお得なものがあるので,それを使うといいでしょう.BLはロンドンの中心地にあるのでアクセスは簡単ですが,TNAは中心地から電車で約40-50分離れたところにあるので,スケジュールがタイトな時は気をつけた方がいいでしょう.電車も工事やら何やらでひとつの路線丸ごと動いてないとか珍しくないので,時間には余裕を持つこと.日本のようにはいきません.

Registration

RegistrationとReader's ticket発行について(年々規則が厳しくなってきているということなので,必ず訪問する前に自分でウェブサイトをチェックすること!→BL/TNA).2010年1月の時点で必要な書類は①現住所(日本ので可)を明記してあるID,②署名があるID,の2点.①は運転免許証(日本人スタッフがいるので日本のでOK),②はパスポートでだいじょうぶでしょう.写真はその場でデジカメで撮ってくれるので不要.BLの場合は見たい史料の史料番号まで要求されるので,ノートにメモをしておくこと.TNAのスタッフはフレンドリーだけど,BLではRegistrationのスタッフは無愛想で高圧的なのが多いので,覚悟した方がいいでしょう.

Ordering sources

BLは資料/史料のタイプによってオーダーの仕方が違うので面倒です.各Reading roomにオーダー方法を書いたリーフレットが置いてあるのでそれをよく読むか,スタッフに聞く.全館無料のワイヤレスインターネットが使えるので,自分のラップトップPCを持っていけばそこからオーダーできます.TNAではオーダーは館内に無数に置いてある端末からのみ.ただ端末は1分間放置しておくと勝手にログオフ/初期化してしまうし,ワイヤレスインターネットもいまのところないので,史料の情報や番号はあらかじめノートに取っておくか自分のラップトップに入れておいた方がいいでしょう.そうすれば時間も節約できるしね.

Eating

BLもTNAも館内にレストランとカフェがあり,値段(高め)と味(イギリス的)を気にしなければ食事は簡単にできます.いろいろ考えなきゃいけないのは安く食べたいand/orおいしく食べたいという人.TNAは郊外にあるうえに駅の周りにも建物の周りにもなにもないので,館内のレストランを使うか,自分でサンドイッチ等を持っていくのがいいでしょう.BLは中心地にあるのですが,安くておいしいレストランを探すのはちょっと苦労します.ロンドンに留学している人と友達になって,一緒に行ってもらうかアドバイスをもらいましょう――って有益な情報になってないか.いちおう私が行ったor人に聞いたお店でお勧めのところを紹介します(Special thanks to Miu and Hiraku.)

China House

BLから南に歩いて5分くらい.ランチが4.5ポンドで食べられる.味もまあOK.

Hare & Tortoise

さらに南に3-4分.イギリス風中華って感じ? 

Kings Cross Tandoori

Kings Crossのすぐ近くのカレー屋さん.安くておいしい.

Snazz Sichuan

BLのすぐ近く.最近ロンドンで流行ってる(らしい)四川料理.辛ウマ.

Diwana Bhelpoori House

Euston駅の近くのベジタリアンカレー.おいしいよ.一押しです.

ロンドンリサーチ旅行無事終了.いまはエディンバラ行の電車の中です.ずいぶん長いこといたような気がするけど,たったの6日間なんだよね.


昨日は一日TNA国立文書館でリサーチ.引き続き国務文書と新しくTreasury Papers(大蔵省(?)文書)を片っ端からオーダーしては読んでいった.国務文書のほうはエディンバラにもコピーがあるしスコットランド史家にはよく使われているけど,大蔵省文書のほうは私みたいな使い方をする人はスコットランド史ではまずいなかったから,いままでまったく言及されていない事件や暴動が見つかったのは大きな収穫.いい感じ.ただ読みたかった史料が他の人に使われてて利用できなかったので,また行ってみることにした.


夜は日本人の学生と食事に行った.ベジタリアンインドカレーである.月曜に会ったメンツ+もともとの友達+新しく会う人+私で合わせて6人.月曜の食事も含めて,こんなにたくさんの日本人に会うのは久しぶり.6日間のうちに会った日本人の数はエディンバラでの一年間分くらいに相当する.聞いたところによるとロンドンだけで3万人日本人がいるというのだから,まあすごいね.カレーはおいしかったし,会話も楽しかったし(何話したかあんま覚えてないけど(笑)),よかったよかった.


今朝B&Bで朝食をとっていると,テーブルが埋まっていたので他のお客さんと相席することになった.中年のおばさん.「おはよう」とあいさつを交わしてトーストを食べながら自己紹介がてらの会話が始まる.ロンドンにはどういう目的で? どれくらい滞在するの? 今日はどこに行くの? みたいなのね.私がリサーチ目的で来てること,エディンバラに住んでいることを伝えるとおばさんは"Lucky you!"とうれしそう.ジャーナリストだというおばさんは今はBristolに住んでいるけど,FifeのAnstruther(「アンストラザー,地元の人はエィンサって発音するけどね」)出身なんだとか.スコットランド史を勉強してます,と私が言うと「なんでまた日本人が?」というお決まりの質問.あまりのんびりしてられないので短いバージョンで答えて,そのあとはスコットランドトークで盛り上がった.


おばさんは地元の歴史に凄く詳しくて,AnstrutherはあのJohn Knoxが宗教改革運動の初期に訪れた大事な場所だったとか,1736年にエディンバラで起きたポーティアス事件とAnstrutherにおける密輸の繋がりとか,けっこう細かいことをよく知っているので驚いた.密輸といえば,僕はグラスゴウと西海岸をやってるんですよ,というと「なんで東海岸じゃないの!?」と残念がられた.お互いけっこう急いでいたので話をしている時間が短かったけど楽しかったな.B&Bでのこういうちょっとした会話っていいものだよね.


朝食後にB&Bを出てBLに行き,手稿史料の残りを片づけ,午後から国立文書館へ.昨日使えなかった史料をチェックしてみたけどまだ誰かがキープしている.誰だよまったく......昨日から来てないし,どうせ今日も来てないみたいだからスタッフに掛け合って見せてもらうことにした.意外と融通きくんだね.とはいえあまり時間もなかったのでデジカメ作戦を決行し,まるでカメラマンのように写真を撮りまくった.コピーと同じで,写真撮るとそれに満足してあとで読み返さないことがありうるので,一番大事な部分は電車の中でがんばって3時間かけて読んだ.これも発見が多かったので,リサーチの成果は上々.早く文字にしないと.



しかし電車ながいなー.いまNewcastleを過ぎた当たりなんだけど,あと1時間か.エディンバラ着は23:45の予定.やれやれ.




PS
せっかくだから有益な情報でも書いておくか.