先週末はエディンバラThe Gatheringというイベントがあったので行ってきた.これはスコットランドの各氏族(クランという)がエディンバラのホリルード公園に集まり,ハイランド・ゲームズやらコンサートやら何やらをやって楽しみましょうというもの.今年が初めての催しなのだが,土日合わせて約50,000人が世界各地(誇張なしで)から集まり,イベント的には大成功だったようだ.実はPhD仲間のスイス人デイヴがこれを機にリサーチをやりたいっつうことで,そのヘルプとして行ってきたんだけどね.チケット代10ポンドはデイヴもち.


デイヴのPhDプロジェクトは'Scottish culture in the global market'というもの.スコットランドからは19-20世紀に北米にた〜くさんの人が移り住み,いまでもアメリカ人とカナダ人のスコットランド系の人たちはそのルーツを非常に大事にしているのだが,デイヴの関心はアメリカ・カナダにはない.彼から聞いたのだが,実はヨーロッパでも毎年各地でハイランド・ゲームズ(筋肉モリモリのムサい男たちが丸太を投げたり石を投げたりする競技)やスコティッシュ・フェスティヴァルが開催され,人々たちはこぞってキルトを着てバグパイプを演奏し,スコットランドの国旗を掲げて楽しんでいるのだが,その人たちの多くはスコットランドに何の関係もない人たちなのだ.彼らはキルトやバグパイプが'cool'であり,スコットランドのことが好きでたまらない人たちなのだが,なんでまた? というのが基本的にデイヴのプロジェクトの出発点であり,彼はヨーロッパ各地のスコティッシュ・フェスティヴァルに行きそういう'freaks'にインタヴューをし,この現象を理解しようとしているのだ.


というわけで,今回のGatheringはデイヴにとって格好の素材.というのも,今回参加者の大多数はアメリカ人であるということは十分予想できたのだが,ヨーロッパからも参加者がいる模様,ということが下調べでわかったので,これは行くしかない! となったわけ.今回は合計で140のクランが集まり,各クランがテントを設営して,展示をしたり新しいメンバーを募集したりするので,デイヴとヘルパー5人でテントをすべて回り,ヨーロッパ人がいないか探し,そしてアンケートに答えてもらう.これが今回のリサーチ.私は日曜日に行って約20のクランを回ったのだが,残念なことにヨーロッパ人には会えずじまい.実際思っていたほどヨーロッパの人はいなかったので,デイヴはちょっとがっかりしてたが,まあ私個人的にはすごく面白かった.


私がいくつか回ったテントの中には実際のクランの長(チーフ)がいてちょっと話ができたのだが,まあ彼らはいわゆるジェントリで,中には男爵の人もいた.あとはアメリカ人がたくさんいたのだが,スコティッシュよりもアメリカ人のほうが話し好きというか,クランの歴史,アメリカでのクランの活動云々を話したがって,なかなか話が終わらなくてたいへんだった.彼ら彼女らのほとんどは自分たちのクランの歴史をすごく大切にしていて,いまでもスコットランドは故郷だ,と誇らしげに(バリバリのアメリカン・アクセントで!)言う.中には毎年スコットランドに集まり自分たちのgatheringを開くクランもあるらしく,そういう歴史や伝統の引き継ぎにかなり努力をしている(実はこの背景には,若い人たちがクランのメンバーにならないという事情もある.実際テントにいた人たちは中年〜初老の人がほとんどだった).


まあそんな感じで,友達のリサーチの手伝いがてらに行ったんだけど,いろんな人と話ができたし,何人かとは連絡先も交換したし,ヘルプの作業自体はなかなか楽しかった.リサーチが終わった後は天気がよかったので,ビール片手にハイランド・ゲームズを見学したり,スコットランド各地の名産コーナーで飲み食いしたり(生ガキ食べてきた!んまかった!),ウィスキー試飲したり.なかなかよい休日になりましたことよ.


※自分ではあまり写真撮ってないんだけど,flickrとかにたくさんあるので見たい人はどうぞ.それと関係ないけど柔道選手の井上康生がいた.ゴツかった.