1年目まとめ

研究面1:博論テーマ

思った以上に史料の状態が悪く,指導教員と相談して時代を広げるという策をとった.当初の計画では研究対象は18世紀前半ということになっていたが,今のところは1707-1783(イングランドとの合同からアメリカ独立戦争終了まで)という感じになりそうだ.それだけではなく,テーマもいわゆるpopular politics(民衆政治)の概念を柔軟に適用し,より広くグラスゴウという都市における政治文化(?),という方向性で進むことになった.これがこのあいだの1st-year reviewの結論.指導教員いわく,1760年代を過ぎると史料の問題はほぼ解決し,むしろありすぎるから使うのを選ぶ羽目になるということだ.テーマも広がって史料も増えるのだから,2年目はリサーチをがんばらなければならない.

研究面2:英語

あまりうまくなってない,と思う.特に書くのがダメ.これはもちろん私の英語がダサいということによるのだが,実は他にひとつ理由があって,それはうちの指導教員たちが英語のチェックをしない人たちだからである.これは正直大問題だ.Murdoch先生Devine先生もどちらも私をちゃんと指導してくれるのだが,Devine先生は超多忙なある意味business manだから面談する時間も多くなく(するとしたら2月に1回,Murdoch先生とのジョイント),あまり期待できない.Murdoch先生はありとあらゆる面で研究に支障がでないようにサポートしてくれる本当にいい先生で,史料の知識は豊富だし,面談のときにいろいろと口頭で議論するうえでは助けになるのだが,書いたものに一切手を入れない主義.なぜかは不明.歴代の学生たちも同じことを言っているので,私だからというわけではないのだが......今のところPhDの同僚に見てもらってチェックしているのだが,これでは心許無い.ただ,例の書評のときにはMurdoch先生とDickinson先生がしっかりチェックしてくれたので,これから論文を書く,そして実際に博論の執筆に入る段階に入れば変わってくるのかもしれない.というかそうなってもらわなければ困る.さてどうなるか......

生活面1:人間関係

恵まれていると思う.ほとんど問題ない(いまのところ,ね).数は多くないけど歴史学科のPhDの同期の友人もいるし,スコットランド史専攻の中でも溶け込めてると思う.6月まで住んでいた寮がラウンジやコモンルームのない=友達のできにくい寮で,なおかつそこの大多数を占めていた教育学部のカナダ人たちが1年で帰ってしまったので,歴史系以外にはあまり知り合いがいないのだが,もとからそんなに友達が多いほうではないし......問題があるとすれば日本人の友達がほとんどいないことぐらいか.これは正直お手上げ(どうやって作るの?).

生活面2:食・住

フラットに関しては7-8月はけっこう悲惨だったが,9月以降はもとからの友人と共同生活なので,これ以上悪くはならないだろう.食事はもちろん日本にいたときのように四季折々の旬のものを素材から料理して楽しむ,というわけにはいかないが,こちらでもいろいろと探して工夫して自分でちゃんと料理すれば何とかなるもの.それと,私は意外と粗食でも大丈夫なので(より正確には粗食でも大丈夫だとわかったので),特に問題なし.もちろん,たまにとんこつラーメンとか牛丼とか,焼肉とか寿司とか,新鮮な魚介類を使ったパスタとかたらふく食べたくなるけどな!

生活面3:街

生活面にほとんど問題がないのはエディンバラという街に住んでいるおかげでもあると思う.いちおうスコットランドの首都だが,大きすぎず,忙しすぎず,騒がしすぎず.それにロンドンほどではないが適度にインターナショナル=外国人慣れしている街なので,人種差別等にも遭ったことはない.もちろん夏のフェスティヴァルの時期は人の多さと街のうるささにはうんざりだったけど,その他の時期はとても住みやすい.気候的には,冬の寒さも思っていたほどではなく(いや12月は寒いけど),雨もそんなにひどくないし(やっぱりよく降るけど),夏はすごく明るいし(冬は真っ暗だけど),それほど悪いわけではない.エディンバラはまたスコットランド史を研究するには理想的な街でもある.大学だけではなく研究に必須の文書館や図書館も徒歩圏内ということを考えると,かなり環境はいい.


というわけで,まあ1年目はいい感じだったと言っていいと思う.もちろん2-3年目にもっと辛くなることはあるかもしれないけどね.がむばります.